あぶない

うちの店から銀行は少し離れたところにあるですよ。なので入金や両替にバスを使ってるのね。ま、市内乗り放題の川崎市営バスだから経理も大喜びである、と。
その日も数分遅れのバスを誰もいないバス停でさみしく待っていた、と思いねぇ。
まだかな、とバスの来る右のほうを見る。
こない。
まだかな、と右を見る。
こない。
まだかな。
こない。
まだかな。
こない。
何度か右を見ていると、どうも変な感じがするのに気がついた。
わたしが右を見ている間だけ、わたしの左側に誰かいるのだ。
左。
つまり車道。

彼は車道で出たり消えたりしながら一体なにをしていたのだろう。不思議な霊もいたものである。