サーヘスは確かにお買い得だった。タイプカバーが無料でついてきたし。それまで使っていたマシンが古かったこともあって、その快適さに「これが今時のタブレットか!」と驚いた。大型ディスプレイを買い、ThinkPadキーボードをつなぎ、HDDを増設し、マウスを新調し、ついには持ち歩くための鞄まで買おうとしている。
調子に乗りすぎではないのか。
おまえは自分の収入を把握できているのか。
仕事は真面目にしているのか。
大切なことを忘れていないか。
もしかしたらばかなのか。
背中に冷たいものが走る。
いつだってそうだ。
おのれの器以上のものを望んでしまう。
死んだ母親が父親に言われていたことを思い出す。
ほかのひとたちと同じだと思うな。
同じことをしようと思うな。
そりゃあ父親の年収はけして多いほうではなかったけれど、自分が貧しい家庭にいると思ったこともなかった。おそらく母親がわたしにそう思わせないよう努力をし、その努力が実っていたということなんだろう。
ただはっきりわかっているのは、この話題は暗くなるのでやめたほうがいいっちゅうことだ。
やめよう。
そんでやっぱり鞄を買おう。