これはもう怪談レベルだよ

大変に痛ましい事件が起こった。たまたま現在の仕事場がその現場から車で行ける距離にあったため、お店のパートさんたちには学校から一斉に「今日はもう授業をせずに子供達を帰宅させるから迎えに来い」というメールが届いていたようだ。

 

午後になってその人は来た。

「川崎の地図はないか」と聞かれたので案内したところ、重ねて「この地図で○○病院の場所はどこか」とおっしゃる。こちらの記憶もあやふやなので、確かこのあたりに、と指をさした。と地図に食いつかんばかりにしながら、あの事件を知っているかとお尋ねになる。はぁ、今朝のやつですか。そうだ、この病院に運ばれたらしいぞ。

正直言ってどこの病院に運ばれたかについては興味がなかったんだけれど、ちょっと気になったので聞いちゃったんだ。病院、行くんですか。

そのかたは地図から顔を上げて、光の灯っていない目で呟いた。

「どうしようかな」